相続不動産の評価方法について

遺産分割協議において揉めがちな点として、遺産の中に含まれる不動産の相続方法があります。不動産には、自宅や投資物件、別荘などがありえますが、どれも比較的高額であり、かつ価値の評価には様々な方法があるので、相続人間でトラブルになりがちです。

この記事では相続不動産の評価方法についてご説明します。

不動産の相続はなぜ揉めるのか

遺産の中に不動産が含まれている場合、まずは誰がそれを相続するかでもめることがあります。現金や預貯金と違い、不動産は簡単に換金することができず、相続人の頭数で割ることも難しいためです。

不動産が住居の場合はそれぞれの生活の拠点となりますし、高額でもありますので、相続人同士で希望が対立しがちです。

そして、相続人同士それぞれの家庭があることも多く、自宅などの不動産を共有で相続することが現実的ではないことも多いです。

そのため、相続人の誰か1人だけが相続することになりますが、不動産を相続する人は、他の相続人に対して代償金を支払わければいけないことが多いです。不動産は高額な財産ですので、1人だけが相続すると、他の人の法定相続分をおかしてしまうことになることが多く、その不均衡を解消する必要があるためです。

しかしながら、不動産の評価方法にはいろいろな手法があり、評価方法によって数百万円単位で差がでてくるので、代償金をいくらとするかで紛争になることがあります。

不動産を相続する人は、代償金をなるべく安くしたいために不動産の評価を低くしたいという意向が働きますし、不動産を相続しない人は、逆になるべく多くの代償金を受け取るために、不動産の評価額を高くしたいと望みます。

不動産の共有は基本的に避けたほうがいい

不動産の相続でもめた場合、不動産を売却して対価を相続割合で分割する方法、共有分割をする方法、誰か一人が相続して代償金を支払うという解決策があります。不動産を手放したくない場合は、不動産の売却は望まないことでしょう。

また、不動産の代償金がトラブルになりがちとはいえ、基本的には不動産の共有は避けたほうがよいです。不動産の評価や代償金の評価でのもめごとが長引くと、面倒になって不動産を法定相続分により相続人全員の共有にして早期に遺産分割協議を解決してしまいたい気持ちにもなるかもしれません。

しかしながら、共有不動産は、売却や賃貸などについて自分だけで判断ができず、共有者全員の同意が必要になります。共有者全員の意思が一致するとは限りませんし、共有者が亡くなって次の相続が発生したときには、共有者が増え、かつ共有者間の関係性も希薄になるので、更に合意形成が大変になります。

こうなると、せっかくの価値ある不動産を有効に活用できず、相続人全員にとって困難な事態となってしまいます。

つまり、紛争を将来に向かって持ち越してしまうリスクがある点に十分注意しなければなりません。

相続不動産の評価方法

上述の理由により、代償金を支払うことができる場合は、相続人の誰かが不動産を単独所有することが望ましいといえます。不動産の評価方法にはいくつかあり、相続人間でその評価方法に納得ができていればどの方法でも構いません。

以下、不動産の評価方法についてご説明します。

結論からいうと、3つの方法の中で、不動産の評価額が高くなる一般的な順序としては、時価での計算、路線価での評価、固定資産税評価額での評価となります。ご自身が代償金を支払う立場か、支払われる立場かによって、どの評価方法を主張すべきかが異なってくるでしょう。

固定資産税評価額で評価する

不動産の所有者には、国に対して毎年固定資産税を納税する義務があります。国から請求される納税額なので、固定資産額を基準に評価するという方法は、ある程度関係当事者から納得を得やすいでしょう。

固定資産評価額を確認する方法としては、毎年5~6月頃に不動産の所有者に対して市町村役場から送付される固定資産の納税通知書を見れば、当年度のその不動産の評価額が判明します。

また、納税通知書が手元にない場合でも、その不動産が所在する市区町村の税務課に、固定資産の評価証明書を請求すれば発行してもらえるため確認することができます。

路線価で評価する

路線価とは土地の相続税評価や贈与税評価についての基準となる指標で、国税局が毎年公表している価格です。路線価は、1平米あたりの金額が、道路別に決められています。

路線価は課税のために定められている基準ですので、その土地の時価とは乖離があり、おおむね時価として公表されている公示価格のおよそ80%の金額になります。東京など都市部の土地については、ほぼすべて路線価が定められていますが、まれに路線価が定められていない場合もあり、この場合は、代わりに倍率方式という方法で計算がされます。

路線価を確認するためには、国税庁のホームページで確認できます。路線価図・評価倍率表(国税庁)の路線価図をクリックすれば、区名や町名などで確認できます。

また、一般財団法人資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」でも、簡単に検索ができます。このサイトでは、路線価のみならず固定資産税路線価や公示価格もあわせて検索ができるので、様々な指標での不動産評価額が検索出来て便利です。

時価による計算

不動産の時価による計算は、不動産売買市場に一般的に出した場合の相場を、類似不動産と照らし合わせた市場価格として算出する方法です

不動産仲介業者に見積もりを出してもらったり、不動産鑑定士に依頼をして鑑定をしてもらったりします。この方法では、不動産鑑定士に依頼する場合手数料がかかってしまいますが、代償金を受け取る側としては最も高額な代償金を受け取ることができる可能性があります。

複数の不動産業者等に見積もりを取りその中間値を出してもらえれば、両者の納得感も高まるでしょう。

最後に

このように、不動産の評価については複数の方法があり、立場によって有利・不利が異なります。

相続財産に不動産が含まれていた場合の評価方法についてご参考になれば幸いです。

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