相続はどう進む?相続のスケジュールを解説します

被相続人の方が亡くなられた後、相続人の方々は相続手続を進めていく必要があります。

手続の中には法律上定められたタイムスケジュールまでに行わなければならないものがありますので、期限が迫って慌てたり、知らずに期限を超過してしまっていたりすることがないよう、やるべきことの全体像をおさえておくことが大切です。

この記事では、具体的にどのような手続をいつまでに実施するべきかをご説明します。

死亡後7日以内に死亡届を提出する

被相続人が亡くなってまずすぐに行わなければならないことは、医師の死亡診断書と死亡届を届出者の住所地や死亡者の本籍地などの届出地の市町村役場に提出することです。届出期限としては、被相続人の死亡を知った日から7日以内となります。

ただし、死亡届を出さないと火葬許可証が発行されないこと等から、もう少し早めに提出されるケースがほとんどとなります。葬儀を執り行い、火葬許可証を火葬場に示して火葬すると火葬許可証に捺印がなされ、埋葬許可証となります。埋葬許可証をもって墓地に納骨をすることとなります。

葬儀費用は遺産分割の際に整理することが多いので、領収証等の整理保管をしておきましょう。

相続発生後なるべく早期に遺産分割協議の準備・進行をする

被相続人が亡くなられた後、遺産分割協議に備えて、被相続人が遺言を残されているかどうかの確認や、相続人の調査・確定、相続財産の調査・確定作業を、なるべく早いうちから開始しておきましょう。

これらの情報の確認が済み次第遺産分割協議を実施していくこととなります。

2週間以内に年金・保険の資格喪失届出等をする

各役場に世帯主の変更、年金・健康保険の資格喪失の届出などをします。また、できるだけ速やかに被相続人の運転免許証の返納を行います。

3か月以内に相続放棄や限定承認を申述する(対象者のみ)

債務が多くて相続する債務のほうが多い場合は、相続放棄や相続財産の範囲内での返済をすればよい限定承認という手続をします。これらの手続をするためには、相続人が被相続人が死亡したことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に対して申述をする必要があります。

4か月以内に準確定申告をする(対象者のみ)

被相続人が確定申告をする必要があった場合、相続人は被相続人に代わって、税務署に対して準確定申告という手続をする必要があります。

確定申告は、通常毎年1月1日から12月31日までの所得につき、翌年3月15日までに行いますが、被相続人が年度の途中で亡くなった場合は、死亡したことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をすることになります。

相続人が複数いる場合は、各相続人が連署して準確定申告書を提出することが基本ですが、スケジュールが合わないなどで難しいときは、だれか一人が準確申告書に他の相続人の氏名を記載して税務署に提出したうえで、他の相続人に対して通知をするという方法でもよいとされています。

10か月以内に相続税申告をする(対象者のみ)

相続財産が一定以上ある場合、相続税の申告と納付が必要となります。相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内となります。

なお、相続税は全ての相続について納付が必要となるものではなく、基礎控除(3000万円+法定相続人の人数×600万円)を超える相続財産があるときにのみ納付が必要です。

なお、相続税の納付期限までに遺産分割協議が完了していない場合は、いったん法定相続分に応じて仮計算をした相続税を仮納付します。

そして、遺産分割協議がまとまったあとに、税務署に対して相続税の更正の請求を行い、仮納付した相続税との過不足の調整を行います。

1年以内に遺留分侵害額請求権を行使する(対象者のみ)

遺言等により法定相続分どおりの相続がされない場合、一定の相続人(遺留分権利者)には遺留分侵害額請求権が発生することがあります。

遺留分とは、遺言により法定相続人の一部にのみ、あるいは相続人以外に遺産のほとんどが相続されたような場合、遺留分権利者に民法上認められた最低限の取り分となります。

ただし、相続の開始または遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に遺留分侵害額請求権を行使しないと、権利が消滅してしまうことに注意が必要です。

遺留分侵害請求権の行使方法は、遺留分を侵害している他の相続人や受遺者に期間内に遺留分侵害額請求権を行使する旨の意思表示を行うことによります。期間内に意思表示をしたことを後から容易に証明するためにも、配達証明付内容証明郵便によることが一般的です。

遺留分侵害額請求権を行使するにあたっては、弁護士に相談することがおすすめです。遺留分の計算の精度によって結果が変わってくることも大いにありえますし、近しい親族であることが多い相手方と直接交渉をすることによる心理的なストレスを避けることもできるからです。

最後に

以上が相続発生時問題となる主要な事項のスケジュールです。相続開始からやるべきこととその期限についてご参考になれば幸いです。相続手続のスケジュールに遅れてしまうと、様々な不利益が発生します。

例えば、相続税の申告期限を過ぎた場合無申告加算税を課されてしまったり、遺留分侵害額請求の期間以内に意思表示をしなかった場合は、たとえ相続内容に不満をもっていたとしてももはやその後は請求できなくなってしまったりします。こうしたトラブルを避けるためにも、相続に強い弁護士に、相続開始後に早めにご相談されることがおすすめです。

相続に強い弁護士事務所では、税理士や不動産鑑定士など他の専門家とのネットワークを持っていることも多く、ワンストップで相続時の複雑な手続を期限に間に合うよう解決できます。

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